Column

[0年0月]
財団制度の光と影 -改革の理由―
2014年04月30日

日本政府がお手本にした欧州の財団(foundation)制度は、キリスト教文化をその背景としており、いわば教会活動に相似したものです。それはあくまでチャリティ精神に基づいて行われるものであり、私利私欲とは縁遠いものなのです。ゆえに、欧米では財団にまつわる不正事件などはほとんど耳にすることがありません。

 

それに比べ日本はどうでしょうか。

KSD、漢検、相撲協会、柔道連盟など、財団の不祥事には枚挙の暇がありません

事件の殆どは資金横領不正流用です。

 

日本の長い歴史の中で、財団法人の不正事件が多発しているのは戦後の特徴といわれています。つまり、企業経営者が財団運営に乗り出すようになってからのことであり、とりわけバブル崩壊後は横領見本市の様相を呈しました。

 

そもそも、財団不祥事の根本的原因は以下にあるように思います。

社会貢献に対する意識の欠如

世界常識に対する意識の欠如

コンプライアンス意識の欠如

 

もっとも、一昔前に比べると日本でもチャリティ活動やコンプライアンス教育が盛んになってきたので、事態は徐々に改善しつつあるように思われます。

 

とはいえ、当社へご相談にいらっしゃる方々にも、いまだに財団の趣旨を曲解・誤解されている方が少なからず見受けられます。以下、実際にあった質問です。

Q1. 財団に入れた資金は引き出して自由に使えるんですよね?

Q2. 公益事業なんて、実際にはやらなくていいんですよね?

Q3. 財団の資金は会社の資金繰りに使っていいんですよね?

Q4. 接待費は財団に回していいんですよね?

Q5. 財団のお金でベンツ買っても平気ですよね?

Q6. 愛人の手当て、財団から給料ということで出せますよね?

 

念のため、答えはすべてNOです。